2012年4月25日、フェイスブック(http://www.facebook.com/aritearu)に投稿した記事です。
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イータ・カリーナ星雲 (写真はNASAより引用)
もし皆さんが南半球を旅することがあったら、南十字星(サザンクロス)の近くにあるイータ・カリーナ
星雲を見てください。
私はまだ見たことはありませんが、天の川の中にこの星雲の全体を肉眼でも見ることが出来ると思
います。上の写真はこの星雲を拡大したものです。
南十字星、サザンクロスは宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」にも出てきますが、この南十字星の直ぐ左
下にコールサック星雲(石炭袋)という暗黒星雲が広がっています。「銀河鉄道の夜」にも出てくる
石炭袋、これは背後の星たちの光をこの星雲がさえぎっているため黒く見えるんですね。
そして南十字星の右側に赤く広がっているのが写真のイータ・カリーナ星雲で、私たちに馴染みの
あるオリオン大星雲の1000倍もの明るさを持って広がっています。
肉眼でも素晴らしいと思いますが、いつか双眼鏡で見てみたいものです。
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「カムパネルラ、また僕たち二人きりになったねえ、どこまでもどこまでも一諸に行かう。僕はもうあの
さそりのようにほんとうにみんなの幸のためならば僕のからだなんか百ぺん灼いてもかまわない。」
「うん。僕だってそうだ。」カムパネルラの眼にはきれいな涙がうかんでいました。
「けれどもほんとうのさいわいは一体何だらう。」ジョバンニが云いました。
「僕わからない。」カムパネルラ がぼんやり云いました。
「僕たちしっかりやろうねえ。」ジョバンニが胸いっぱい新らしい力が湧くようにふうと息をしながら云い
ました。
「あ、あすこ石炭袋だよ。そらの孔だよ。」カムパネルラが少しそっちを避けるようにしながら天の川の
ひととこを指さしました。
ジョバンニはそっちを見てまるでぎくっとしてしまいました。
天の川の一とこに大きなまっくらな孔がどほんとあいているのです。
その底がどれほど深いかその奥に何があるかいくら眼をこすってのぞいてもなんにも見えずただ眼が
しんしんと痛むのでした。ジョバンニが云いました。
「僕もうあんな大きな暗の中だってこわくない。きっとみんなのほんとうのさいわいをさがしに行く。どこま
でもどこまでも僕たち一諸に進んで行かう。」
「ああきっと行くよ。 ああ、あすこの野原はなんてきれいだろう。みんな集ってるねえ。あすこがほんとう
の天上なんだ。あっあすこにいるのぼくのお母さんだよ。」カムパネルラは俄かに窓の遠くに見えるきれ
いな野原を指して叫びました。
宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」より引用
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(K.K)
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