2012年1月8日、フェイスブック(http://www.facebook.com/aritearu)に投稿した記事です。
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「アメリカ・インディアンの祈り」
おお、大いなる精霊よ、その声を、私は風の中に聞き、
その息吹は、この世界のすべてにいのちを与える、
大いなる精霊よ、私の祈りをおきき下さい。
私はあなたのまえに一人の人間として、あなたの多くの子供たちの一人として立っています。
私は小さく弱い。私にはあなたの強さと知恵が必要です。
どうか私を美の中にあゆましめ、赤々と焼ける夕空をいつまでも見守らせてください。
私の手が、あなたの創ったすべてのものを大切にし、
私の耳が、あなたの声をききもらさぬようにさせて下さい。
あなたが私たちにお教えになったことども、
一枚の木の葉、一つの岩の下にもあなたがそっとひめた教訓の数々を知ることができるように、
私を賢明にして下さい。
おお、私の創造者よ、私は強くありたい。
私の仲間にうちかつためにではなく、
私の最大の敵、私自身とたたかうことができるように。
汚れのない手と、まっすぐなまなざしをもっていつでもあなたのみもとに行くことが出来るように、
やがて、私のいのちがあの夕焼けの空の色のように消えるとき、
私のたましいが、なんの恥じ入るところもなく、
あなたのみもとに行くことが出来るようにさせて下さい。
「アメリカインディアン悲史」 藤永茂 著 朝日新聞社 より引用
以下ウィキペデリアより引用
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藤永 茂(ふじなが しげる、1926年 - )は日本、カナダの物理化学者、評論家。アルバータ大学
理学部名誉教授。中国の長春に生まれる。福岡県中学修猷館を経て、1948年、九州大学理学
部物理学科を卒業する。1959年、理学博士(京都大学)の学位を取得する。1959年から2年間、
シカゴ大学理学部物理教室に研究員として滞在して以来、コンピュータを用いて原子や電子の
振る舞いを議論する計算化学の研究を続ける。1965年、九州大学教授を経て、1968年、アルバ
ータ大学理学部教授に就任し、1991年、同大名誉教授となる。専門とする量子化学のほかに、
科学哲学や社会・文化・歴史などに関する評論・エッセイ、ジョゼフ・コンラッド『闇の奥』の新訳
などの著書がある。
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アメリカ・インディアンの歴史に関する文献は多数あります。その全てを読むことは出来ませんが、
私が今まで読んできた歴史書の中で最も心に響いた文献の一冊が「アメリカ・インディアン悲史」
でした。藤永さんの言葉を紹介します。
「これと対照的に、インディアンについては、アメリカ人は本能的に、ある「おそれ」を持ち続けて
今日に至っている。それは、自分達の幸福論と本質的に対峙する幸福論によって生き、しかも
自分達よりもあるいは幸せであったかもしれない人達を、まず力によってみじめな状態に追込み、
そして殺してしまったらしいという不安であった。ここで幸福論を神といいかえてもよいかもしれぬ。
白人たちが物の所有によって幸福を求めるとき、彼等はわかち合うことをよろこびとし、白人たち
が隣人と競い、それに優越することによって幸福を求めるとき、彼等は自己にうちかつことによっ
て自らと他の自由を確保し、白人たちが大地を凌辱してその富を強奪するとき、彼等はそれを大
いなる母と慕った。インディアン達のあらゆる愚昧さは、白人たちの競って利用するところであった。
その愚昧さによって白人たちは莫大な利益を手に入れた。しかし、同時に、そのインディアンの
愚昧さのかげに、初々しい精神の高貴としかいいようのないものを、白人たちはたしかに垣間見た
のである。」
(K.K)
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