2011年12月23日、フェイスブック(http://www.facebook.com/aritearu)に投稿した記事です。

映像省略

「ミスター・ボージャングルズ」

この歌を初めて聴いたのは僕が18歳の時だった。東京に上京し新聞配達をしながら学校に

行っていたときのことで、歌がこんなにストンと心の奥底に沈んだのは初めての経験だった。



この時テレビに映し出された映像は二度と見ることは叶わず、僕にとっては「一期一会」の

出会いだったのかも知れない。授業に失望し大学をたったの3ヶ月でやめてしまい、これか

ら先どう自分が生きていけばいいのか全くわからなくなった時に出会った曲。原詩とは少し

違うが、その歌手が自分なりの言葉をつけて歌っていたこの曲は、次のような詩だった。



名前を????と言ったっけ  あの人を

だぶだぶずぼんのおかしな  おじいさん

踊ってくれたよ 僕のために

ミスター・ボージャングルズ  ミスター・ボージャングルズ

ダンス



生きることに疲れ果てた  僕に

元気だしな  と、笑った おじいさん

優しく 人生を語ってくれた

ミスター・ボージャングルズ  ミスター・ボージャングルズ

ダンス



旅から旅へと彷徨い  生きたよ

道連れが一人いたけど  死んだよ

泣きながら 言っていた  優しい あの人

今頃、どこかの酒場で踊って  誰かの悲しみぬぐっているだろうか

心が寒い夜は  会いたい あの人

ミスター・ボージャングルズ  ミスター・ボージャングルズ

ダンス



もうあれから30数年の時が流れたが、今でも僕の中ではベスト3に入る曲だ。生きていく

なかで、人や本など人間には多くの出会いがあり、尊敬する人も沢山生まれてくる。でも

僕にとって「一番尊敬する人は誰?」と聞かれたら、迷わず「母親」と応えるだろう。そん

な話をすると妻から「あなた、マザコンでしょう」と良く笑われるが、僕が灰色の青春時代を

送っていたとき、くじけそうになった心をいつも支えてくれた存在が母親だった。確かに

アッシジの聖フランシスコ、シモーヌ・ヴェイユ、世界の先住民たちなど沢山の尊敬する

人はいるが、母親を超える存在はいない。



自分を産んでくれた親を一番尊敬できるというのは、一番幸せなことなのかもと思う。世

の中には尊敬したくても出来ない人はいると思うし、児童虐待のニュースを聞くたびに心

が沈んでいく。



現代社会に生きていると、「一期一会」の気持ちなんて何処かに置き忘れてしまっている

けど、この曲を聴くたびに辛かった時代や、大事なことを思い出させてくれる。



(K.K)


 



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